>中学受験 6年 12月で塾をやめる
毎年この時期は不安になる受験生やその保護者が続発する。
おそらくこの単語で検索してきたのも、
受験生を我が子に持つ親御様であろう。
いつも中学受験に対してマイナスイメージの話しかしないので
たまには視点を変えて考えてみる。
さて、中学受験である。
ほとんどの場合、独学で小学生が中学入試をすることはあり得ないし
そうするメリットも少ない。必然的に家庭教師や塾に頼ることになる。
家庭教師の相場はまちまちだが、
大手学習塾ならば月々の授業料は3万円前後である。
当然、模試やオプションの講座なども必要になってくるため、
高いところでは一月に6~8万円かかることもある。
中学受験は準備が早ければ早いほどいいので、
おおよそ小学四年生から塾で受験勉強を始める。
さらには言うまでもなく季節ごとには講習会がある。
夏と冬で差があるが、講習会には別途5万~10万円が求められる。
つまり小四から小六まで通塾すると、およそ概算で
6万×12ヶ月×3年+5万×2回×3年=216万+30万=246万円
の費用がかかる。
教材費などを無視しているので、この数字はまだまだ安い方である。
さらに受験が開始すると、一校あたり受験費用は約3万円が要求される。
どれくらいの数の学校を受験するのかはわからないが、
本命の第一志望のみということは考えられないので、
出願だけで10万以上、さらに合格したときのことを考えて
入学準備金も用意しなければならない。
おわかりいただけるだろうか。
中学受験は決して安くはない買い物なのである。
値段というものは目に見える内容である。
文字化・数字化する際に生じる具体性の欠如も忘れてはならない。
つまり「目に見えない」負担も考えて受験をするべきである。
簡単に言えば、「ストレス」がたまるのである。
上述の通り、通塾にはお金がかかる。タダではない。
当然お金を払っているのだからリターンを期待する。
通塾のリターンとは成績向上と志望校合格である。
おたくのお子様が要領よく毎月右肩上がりの成績ならば何も問題はない。
だが、スランプや成績の下向はどんな生徒でも絶対に避けられない。
そんなときどう思うだろうか。
「うちの子は怠けている」か。
「塾の講師は無能だ」か。
いずれにせよ、負の感情が湧くのは確実である。
かわいい我が子の成績が下がって万歳する親は頭のネジが少々飛んでいる。
だが、一番モヤモヤするのは子供であることを忘れてはならない。
遊びたい時間を奪われ、自由な機会を削られ、
ひたすら合格の二文字を追い求めることを強いられる。
受験の主人公は親ではない。
戦争の矢面に鉛筆という武装ひとつで立ち向かう子である。
一体その小さな体にどれだけの負担がかかっているのだろう。
時に親と衝突し、ライバルと競い合い、ひたすらに苦悩し続ける。
大人は彼らのストレスをどこまで把握できるのだろうか。
だからこそ、その成果があらわれたときの感動は一生の宝になる。
中学受験は人生最初の大勝負である。やり直しはない。
今までの苦労が報われる瞬間の、苦が喜に反転するときの感情を
受験は与えてくれる。まさしく今後の人生を変える出来事である。
受験は合格した学校に価値があるのではない。
過程を経たことが重要なのだ。
この心的カタルシスを子供が経験できるのならば、
300万なんて惜しくはない。そう思えはしないだろうか。
ゆえにこの時期に受験に影響することをしてはいけない。
季節は12月。中学入試まであと二ヶ月を切っている。
そんなときに環境を変えてもプラスにはならない。
今必要なのは、塾と子供を最後まで信じぬくことである。